営業支援ツールが進化する中、そのコンテンツのあり方とは
変化の時代に何も変わらないSFEシステム
MRを取り巻く環境の変化は以前から何度もありました。そしてまた今も接待規制強化やiPadに代表されるタブレットを使ったディテーリング等、営業新時代と言われる変化の波が押し寄せてきています。
こうした変化に対応すべくITを活用した様々な取り組みがなされています。しかし、そうした取り組みは “変化に対応する”というよりも、“現状を維持する”という側面が強いように感じられます。例えば、SFEシステム。 “営業を変える“ を合言葉に立ち上げられたプロジェクトでも、エクセル等でこなされている現行機能をいかに形を変えずに新しい技術や新しいディバイスに乗せかえるかに苦心するケースも少なくありません。つまり過去の延長線上での対応であり、その場をしのぐために多くの労力と投資がなされているのです。
もちろん、変わらず必要なものもあります。しかし、本当に必要なものが環境の変化と共に見直されるべきなのに、以前の業務はそのままに、新たな業務がのしかかるという構造が定常化してきています。結果、ITを活用しているのにMRの負荷は増える一方で、環境の変化に対応する余裕がなくなるという矛盾を抱えているのです。
もう一度聞きます。本当に必要ですか?
そうした中、今一度 “捨てるシステム構築” に注目すべきと考えています。思い切って今ある業務、今ある仕組みを無くす構築手法です。どうしても現行実施しているものは無くせない、必要性があるから対応していると思われます。しかし本当にそうでしょうか? 発想の転換をして、捨てる選択をしない限り、前述の矛盾を抱えたまま “使えない” と言われる仕組みに多大な労力と投資を割く結果となってしまいます。
私達はiPadの出現は1つの契機になるのではないかと考えています。iPadは起動も早く、携帯性が高い非常に便利なディバイスです。しかし、これまでパソコンだったら出来てたことがiPadではできないというものがいくつかあります。
そこで、iPadの恩恵を受けるのだから、iPadでできない業務や仕組みは一旦止めてみるという選択肢もあって良いのではないでしょうか?(今は逆にiPadにパソコンの機能を求める傾向が強いように感じます。)例えば、iPadの画面サイズに収まる項目に絞る。そうすることで、これまで必要とされてきた調査項目(調査業務)であったり、メモであったりが本当に必要か見極めることが可能になると考えます。絞った形で運用してみて、それでもやはり必要であれば追加する。最近のITを利用すれば簡単に項目を追加したり機能を追加することができるようになっています。個人的な経験ですが、機能や項目を無くした方が現場から喜ばれたケースも少なくありません。意味がないけど、会社からやれと言われてやらされている業務が意外と存在しているのかも知れません。
捨てた隙間に次の戦略を
ビジネスにもITにも余裕ができてこそ、新たな戦略や変化に対応することが可能となります。捨てるシステム構築で、贅肉を思い切ってそぎ落とし、できた余力で新たな戦略を立案し、IT活用を考える。こうした取り組みで初めて、eディテーリング強化やマルチチャネル戦略等IT活用で変化を起こせる可能性を上げることができるのではないでしょうか?
今回Veevaのセクションでは、グローバルでのVeeva iPadソリューション(iRep)の活用事例を踏まえ、業務のシンプル化や機動性の向上をどのように実現しているかをご説明いたします。ご存じのようにiPadのアプリはほとんどトレーニングや説明書なしでも使うことができるよう設計されています。弊社のiRepも同様にシンプル、使い易さを追求しており、 “捨てるシステム構築” にも一役買うことができるソリューションです。
《執筆者プロフィール》Veeva Japan KK ディレクター, プロダクトマネジメント?山崎 奈雄也(やまさき なおや)日本オラクルにてCRMシステムのプリセールスとしてライフサイエンス業界を担当。各種ソリューションの提案と共に、本社製品チームと連携し日本市場向けの製品機能拡張を実施。2011年6月より現職。日本のお客様のニーズに応えるべく、日本市場向けの製品開発を担当。(ITコーディネータ、システムアナリスト、システム監査)