Veeva Japan Blog

Nitro Blog #1-2: 硬直的なシステム

前回の記事ではライフサイエンス業界におけるデータ活用の困難さの一つとして、分析に使用するデータが集約管理されていないことについて焦点を当てました。その中でBI/統計解析/AIツールなど新しいデータ活用ツールを使おうとするタイミングで、データの未集約がどのような弊害を引き起こすかを見ていきました。

前述のデータ活用ツールだけではなく、今後データソースはますます多様化・増加していくことが見込まれます。ポータルサイト、SNS、レセプトデータや公共オープンデータなど、すでに利用可能なデータだけでも膨大であることに加え、今後の制度設計にも依存しますが、患者自身によるライフログやIoTデバイスによる自動的な取得データ、その他パーソナルデータをコマーシャル活動でも活用できることになるかも知れません。このように様々な新しい情報・データが利用可能になる一方で、それを取り込むためにはデータソースを追加するたびに時間とコストがかかるというのが現状ではないでしょうか。

データソース以外にも常に変化は起こります。新しくSNSログや動画などの構造化されていないデータを格納・分析したい、ビジネス要件に応じた新しいデータ加工をしたい、ガイドラインへの対応のために新しいレポートを追加したいといった要望が、際限なく発生してくるでしょう。これらに対応するために各社のIT部門は、ビジネスサイドの要望を把握し、重要度・優先度を見極め、システム保守ベンダに追加改修を依頼といった作業が都度必要になります。保守ベンダ側の、影響調査、設計、開発、テストといった作業も加えると、要望の充足までには長い期間と、多くのIT部門のリソースが必要となるでしょう。

結果として、新しいデータを分析に活用したいが、それをデータ分析ツールに連携するまでに何ヶ月もかかるというのでは、活用可能になった時点での機会損失は計り知れません。このように、ビジネスをサポートし加速する存在であるはずのソフトウェアがビジネスの要求スピードに追いつかず、むしろ妨害することを、VeevaではSoftware as a Barrier、すなわちSaaBと呼んでいます1)。SaaBとなった負の遺産であるソフトウェアを精算し、ビジネススピードに適合したソフトウェアの採用が必要であると考えています。

これに対しVeevaは全製品ラインアップを通じ一貫して、マルチテナント型クラウドサービスとしての利点を提供し続けています。データウェアハウス(DWH)を含めた全製品で年3回のメジャーバージョンアップを行なっており、各バージョンでは日本市場を含めた顧客からの要望を受けた新機能の追加が継続的になされています。新しく提供開始したDWH「Veeva Nitro(ナイトロ)」でも新しいデータソースのサポートなど、新機能の追加が定期的・自動的にされます。常に最新版のDWHを使い続けられるようになることで、IT部門のリソースは「何を作るか?」を検討するところから、「どう使う(活用する)か?」にシフトしていただくことができると考えています。

次回は、データ活用における困難性としてあげられる最後の点、データ管理の複雑さについて検討します。


1)https://www.veeva.com/blog/breaking-down-software-as-a-barrier-to-digital-transformation/
1)Software as a Barrire(SaaB)からの脱出