これはVeeva systemのホームページからの抄訳版です。詳細や全文は、https://www.veeva.com/resources/executive-brief-achieve-digital-content-excellence/からご確認ください。
グローバル製薬会社トップ20社のシニアリーダー12人で構成する「Veeva Executive Content Innovation Council」で、先日、「医師ら医療従事者向けのデジタルコンテンツ」をテーマにした議論が行われました。
リーダーたちが指摘したコンテンツの未来は次のようなものです。
- 2027年までにコンテンツの90%がデジタルになる
- コンテンツの50%が「モジュール式」になると予想される
- 50%がコンテンツの成果を図る能力を欠いてる
具体的にはどういうことでしょうか?
リーダーの声とともに詳しくご紹介します。
#1:コンテンツの活用サイクルをシンプルに
新型コロナの流行時、企業はデジタルトランスフォーメーションを加速するために、テクノロジーに多くを投資しました。今、こうした投資の価値を再評価する時期が来ています。
現在、評議会メンバー企業の50%が、コンテンツに関して5つ以上の技術的なインテグレーションを行っており、コンテンツにおける「エコシステム」が煩雑になっています。例え、テクノロジーが中央で一括管理されていたとしても、異なったシステムが非効率や、ワークフローの断片化を生み出す可能性があります。
デジタルシフトに伴い、ギャップはより明らかになってきています。「私たちは、イノベーションと実際に行えることの適正なバランスを見つける必要があります」。アステラス製薬・オムニチャネル オペレーション担当副社長のParker Richardson氏は指摘します。
Richardson氏はまた、「高度なイノベーションをすべて取り入れることは魅力的ですが、デジタルの効果を最大限生かすためには、テクノロジーや人材、オペレーティング モデルを基盤とする、しっかりとしたコンテンツエコシステムを構築することが重要です」とも述べました。
#2:制作プロセスにデータを埋め込み、価値向上へ
評議会のメンバーの50%は「コンテンツの効果を測定できる明確なKPI(重要業績評価指標)がない」と回答しました。
その上で、本来追求すべき上位KPIとして、メンバーは①利用開始までのスピード、②顧客満足度、③コンテンツの再利用を掲げています。
データドリブンなコンテンツ戦略を実現するためには、ベンチマーク化と、主要なデータポイントへのアクセスが不可欠です。
現在もなお、多くの企業は外部パートナーや断片化されたデータセットに依存していますが、このような断片化されたデータセットのマイナス面は、テクノロジー統合が多すぎることです。
「デジタルコンテンツの卓越性を達成するための取り組みの中で、自社のテクノロジー構造が複雑すぎたり、外部パートナーへの依存度が高かったりして、プロセスが断片化していることにすぐに気づきました」と、ノボ ノルディスク・コマーシャル エクセレンス兼オペレーション担当コーポレート バイスプレジデントのThomas Thestrup-Terp氏は述べています。
Thestrup-Terp氏は「経営陣に影響を与え、組織全体のチームを強化するためには、意味のあるデータを持つことが重要であることを認識していました。データドリブンな意思決定を行い、自分たちとベンチマークできるように、タイムリーにデータにアクセスする必要もありました。データは最初から最後までプロセスに組み込まれる必要があります」とも語りました。
#3:モジュール式コンテンツでギャップを埋める
また、経営陣メンバーの60%以上が、グローバルチームが作成した販促資料を採用する際の最も大きな障壁の一つとして、品質に対する懸念を挙げています。グローバルチームとローカルチームが作成するコンテンツ間には、大きな非効率性があります。
GSKグローバル製薬マーケティング、オペレーション担当バイスプレジデント兼責任者のRaakhi Sippy氏は次のように述べています。「顧客の個別化が重視される中で、マーケティング担当者は、予算を増やすことなく、より多くのコンテンツをより速く、大規模に作成することが求められています。そのためには、モジュール式のアプローチを採用する必要があります。これは、簡単でシンプルな顧客体験を提供するための効果的な方法です」。
モジュール式アプローチでは、マーケティング担当者は、あらかじめ承認されたコンテンツモジュールを使用して、ローカライズされた資産を作成し、より効率的にチャネルと地域間のギャップを埋めることができます。
ただし、すべてのコンテンツをモジュール式に設計するべきではなく、マーケティング担当者は、モジュール化すべきものとそうでないものを明確に定義する必要があります。
リーダーたちは、コンテンツの少なくとも50%をモジュール式にすることを目標としています。HCPとのエンゲージメントに利用できる新しいデジタルチャネルが多数登場するなか、マーケティング担当者が、チャネルに依存しない販促資料を柔軟に作成して再利用できるようにすることが、コンテンツの卓越性を実現する上で不可欠です。
何よりも重要なのは、顧客の満足度を高めることです。モジュール式のアプローチを採用することで、マーケティング担当者はよりパーソナライズされ、関連性の高いコンテンツを提供し、医師ら医療従事者(HCP)とその患者様のためのより良い顧客体験を促進することができます。加えて、コンテンツの再利用率を高めることもできます。
#4:審査承認プロセスを自動化へ、31日短縮も
評議会のメンバーは、2025年までに審査承認プロセスの75%を自動化したいと考えています。
コンテンツを利用する際の最大のボトルネックは依然として審査承認プロセスであり、経営陣は長年、コンプライアンスとスピードとの適切なバランスを見つけることに苦労しています。評議会のメンバーは、これまでもプロセスの最適化について取り組んできましたが、さらなる改善の余地がありそうです。
「規制上のニーズとそれに伴うリスクを考えると、短期的に100%の自動化は実現不可能です」と、ファイザーで医療従事者(HCP)と患者エンゲージメント イネーブルメント担当バイスプレジデントを務めるAnuj Maheshwari氏は述べています。
「あらかじめ承認されたコンポーネントを活用することで、審査者は承認済みの内容を確認し、審査が必要な領域に集中することができます。私たちは、提出から承認までの時間を38日から7日に短縮しました」
あらかじめ承認されたコンテンツを一部再利用するモジュール式のアプローチは、審査承認プロセスを大幅に加速させるでしょう。