EDC評価ガイド

自社に最適なEDC選定のためのステップ

EDCは臨床試験に不可欠なシステムで、
多くのステークホルダーが関係します

しかしEDCの選定は厄介で、ベンダーからの情報はどれも同じだと思えるかもしれません。データ主導型の医薬品開発業務受託機関(CRO)であるBioforum the Data Masters社の協力のもと、臨床試験に最適なEDCの選定に役立つガイドとしてステップごとにまとめました。本資料はEDCベンダーの選定を担当する中小のバイオ製薬企業のデータマネージャーとそのチームを対象としています。

成果を導くEDC選定の5つのステップ

ステップ 1

現行プロセスの評価

既存システムは、現在どのような課題と制約を抱えていますか?この機能があったらと思うことはありませんか?評価にあたり特に注目すべきポイントを以下に挙げます。

  1. 試験構築の現状:担当チームはスケジュールに無理なく対応できていますか?そうでない場合、原因は機能の欠如やシステムの不備にありませんか?
  2. 管理:ユーザーにアクセス権を与えるのは容易ですか?
  3. カスタム化:臨床試験の内容に対応するには、迂回措置(ワークアラウンド)やカスタムファンクションは相当数必要ですか?
  4. 柔軟性:プロトコル改訂が生じた場合、システムにどの程度の柔軟性がありますか?ダウンタイムはどのくらい必要になりますか?
  5. データアクセス:臨床試験のオペレーション指標を示すレポートやダッシュボードを閲覧できますか?またクリニカルデータに容易にアクセスできますか?

試験実施医療機関とCROに情報を求めてみましょう。悩みの種を知るための簡単なアンケートを作成することもできます。最適なEDCの選定とユーザーのスムーズな受け入れに役立ちます。

ステップ 2

要件の明確化

治療領域とプロトコル要件から、多くの必要機能を決定できます。

  1. 改善点の優先順位づけ:実現しようとしている最重要の改善点を見きわめます。(試験構築時間、改訂に要する時間、LPLVからデータベースロックまでなど)。
  2. KPIの設定:解決または改善しようとしていることは?成功の判定基準は?こうしたKPIを要件に組み入れます。
  3. データ収集範囲の設定:他に収集しているデータ(IRT、eCOAなど)がある場合、どのようにEDCデータと統合していきたいかを検討します。
  4. ウィッシュリストの作成:現行のプロセスで改善したいことを、不可能と思えることも含めてすべてリストアップします。

ステップ 3

ミーティングの準備

ベンダーとのミーティングは貴社の要件を中心に行うべきです。それにはベンダーが基本的機能を提供でき、ミーティングを必要不可欠な機能についての細かい検討に充てられることが前提です。

  1. 事前の要件リスト送付:ベンダーが貴社にとって最も重要な機能に合わせたデモを準備できます。
  2. プロトコルの提供:今後に向け計画しているプロトコルに類似したものをベンダーに提供し、その重要シナリオに沿ったデモを依頼します。
  3. ミーティングアジェンダの設定:ベンダーが貴社にとって重要な領域と機能をミーティングで必ず取り上げることを確認のうえ、アジェンダを事前に送付します。

データマネジメント部門が単刀直入に質問をぶつけるものの、技術的な専門用語やあいまいな回答ではぐらかされることはよくあります。的確な質問についてはこちらの質問例ガイドが役立ちます。

ステップ 4

同一条件での比較

難易度の高い現実的なシナリオを取り上げ、各ベンダーに理論上の説明だけではなく、実際の処理手順についてのデモを要請します。

ミーティングの導入部分:

  • 「IRTからEDC、EDCからCTMSなど、EDCではどのようなデータ連携が可能ですか?」
  • 「改訂時にはどのように処理するのですか?」チームに大きなトラブルが生じたことのある具体的な改訂の事例を思い起こし、そのシナリオをベンダーに提示して、システムがどう対処するかをデモで実演してもらいます。システムの改訂機能を徹底的に評価しておかないと、長期のダウンタイムとデータ移行時のリスクに直面する危険性があります。
  • 「これまでデータマネジメントのプロセスで最も改善できたポイントを3~5点挙げてください。」また、今後の製品スケジュールにも話を向け、顧客がどのようにそれに関与しているのか、新機能の優先順位についても情報を得るようにします。

注記:CROに委託している場合は、技術的な内容を話し合う場にCRO担当者の同席を求め、内容を解説してもらいます。

サンドボックス(評価環境)での評価は、どれほど直感的なシステムでも学習に時間がかかるため、サンドボックスよりもワークショップを検討しましょう。ワークショップ中は、今後に向け計画しているプロトコルと類似したものをベンダーに使用してもらい、試験の構築、プロトコルの改訂、自社の複雑なフォームなどをどのように対処するかをデモで実演するよう求めます。

ステップ 5

意思決定

各ベンダーのメリットとデメリットを評価するため次の4つの指針を活用します。

  1. 価格の明確化:包括的なライセンスコストなのか、それともターゲットSDVアプローチやローカルラボ機能などの使用に対し追加費用が発生するのか、ライセンス費用を徹底して確認します。
  2. 評判の確認:導入済み顧客の照会を求め、ベンダーが同席しない場で、直接、率直な意見交換を行います。
  3. CROとの提携関係の確認:ベンダーと提携しているCROはどこか、その提携関係はどのようなものかを確認します。新規導入プロセスとトレーニング、継続的なサポートモデルなどについて訊ねます。
  4. ステークホルダーの同意:選定ベンダーが明確になった時点で、提携先のCROに通知します。スポンサーには、自社のニーズに最適なEDCを導入する権利があります。

価格の検討時に注意すべきなのは、初期投資が節約できても、システムの操作性が悪い場合あるいは手作業での迂回措置が必要な場合には、最終的に構築や改訂に必要な支出が増える可能性があるということです。

EDCのためのアジャイルデザイン

アジャイルデザインは試験構築の新たなアプローチであり、従来型の構築プロセス全体が抱える課題に対処します。アジャイルデザインのテクノロジーとプロセスの進化で、複雑な臨床試験の構築、迅速な反復、変更の適用が容易になっており、臨床試験チームは柔軟性が向上し、いっそう成果を上げやすくなります。

Bioforum社のデータ戦略及びソリューション担当ヴァイスプレジデントのTanya du Plessi氏は、試験構築へのアジャイルデザインアプローチのメリットについて語っています。

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アジャイルデザインのアプローチでどのように構築期間が短縮し、改訂が容易になり、データベースロックを短期間で実現できるかをご覧ください。