VeevaのIQVIA社への対応
5月10日、IQVIA社は、Veevaに対する情報操作のキャンペーンの一環として、意図的に誤解を招くプレスリリースを発表しました。このことにより、両社のお客様の間で混乱が生じています。
本ページでは、IQVIA社に対するVeevaの訴訟の状況の概要、現在のVeevaのIQVIA社への対応、そしてお客様への影響についてご説明します。
Veevaが2017年にIQVIA社に対して提起した反トラスト法違反の訴訟は、現在も進行中です。コロナ禍による遅れのために、陪審審理の日程は2023年前半にずれ込む見通しです。Veevaは勝訴を確信しており、業界に損害を与えているIQVIA社の競争抑止的行為を終わらせるために全力を尽くしています。
Veevaは、IQVIA社による独占権の濫用に対するアプローチを変えるつもりはなく、報復したいと思っているわけでもありません。Veevaは常にオープンであることを重視し、お客様の選択を尊重してきました。このVeevaの姿勢は、今後も変わりません。これはつまり、次のことを意味します。
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IQVIA社によるVeevaのソフトウェアへのアクセス – 今まで通りのアクセスが認められています。IQVIA社は現在も、Veevaの知的財産を守るための制限付きソフトウェアアクセス契約(RSAA)締結を前提に、VaultやCRMを含むVeevaのすべてのソフトウェアアプリケーションにアクセスできます。IQVIA社からは、新しいRSAAを定期的に発行することが求められています。Veevaは、IQVIA社のRSAA発行リクエストを今まで拒否したことはなく、現在はIQVIA社との間で100以上のRSAAを結んでいます。このプログラムは今後も変わりません。
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IQVIA社に寄るVeevaのデータへのアクセス – 今まで通りのアクセスが認められています。Veevaは、IQVIA社がVeeva OpenDataなどのVeevaのデータ製品をIQVIA社のソフトウェア製品やサービスとともに利用できるよう、TPAの締結を継続しています。このプログラムは今後も変わりません。
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Veeva CROパートナープログラム – IQVIA社は、パートナープログラムへの不参加を決めました。Veevaは、IQVIA社をVeeva CROパートナープログラムに招待しました。共同顧客をサポートするため、2020年7月以降、プログラムに参加するよう熱心に呼びかけてきました。IQVIA社は、プログラムに参加しないことを決めた唯一の大手CROです。
これにより、Veevaのテクノロジーを使ったIQVIA社の臨床試験サービスを利用されているお客様にはどのような影響があるでしょうか?またIQVIA社がCROパートナープログラムへの不参加を決めたのはなぜでしょうか?
- IQVIA社はプログラムへの不参加を決めたため、Vault CDMSで臨床試験を構築することができません。試験の構築は、臨床試験を実施する中でも特に複雑で重要な部分です。CROパートナープログラムは、お客様が確実に成功できるよう、必要なVeeva Vault CDMSのトレーニング、サポート、およびリソースをCROに提供します。
- Veeva CDMSでの試験構築には、多くのオプションがあります。お客様は、他のVeeva CROパートナー、Veevaサービス、内部リソースなどをご利用いただけます。
- CROパートナープログラムでは、プログラムの諸条件を規定し、CROが他社に提供しているソフトウェアやデータアクセスプログラムにVeevaが参加できることを定めた簡易な契約書へパートナーが署名するように求めています。IQVIA社が参加を拒否したのは、この契約に合意するとVeevaを公平に扱う必要があり、お客様がソフトウェアやデータを選択することも認めなければならなくなるからです。
以上でご不明点が解消されましたら幸いです。上記に関連するVeevaの立場についてさらにご質問がある場合は、Veevaの担当営業までお問い合わせください。
IQVIA社の5月10日付プレスリリースで言及している法的な見解について、さらにご不明点がある場合は、FAQをお読みください。
IQVIA社の2021年5月10日付プレスリリースに関するFAQ
IQVIA社は、VeevaとIQVIA社の間の訴訟で下された裁定に関するプレスリリースを2021年5月10日に発表しました。裁定の内容を教えてください。
裁定を下したのは、特別補助裁判官です。この裁判官は、訴訟の証拠開示手続を監督するために任命されます。この段階では、関連する文書(電子記録を含む)の捜索と交換、そして証言録取が行われます。特別補助裁判官は、訴訟における事実審裁判官とは異なり、自身の判断に基づき事実審裁判官への申し立てを行うことができます。
裁定では主に、(i) どの文書が弁護士と依頼者間の秘匿特権の対象となり、そのために証拠として陪審に提出できないのか、および (ii) Veevaが文書を適時保全することを怠ったかどうかの2つの項目が言及されました。
裁定では、IQVIA社のプレスリリースにあるように、VeevaがIQVIA社の企業秘密を悪用したと判断されましたか?
いいえ。裁判所は、企業秘密と見なされる(その法的要件を満たす)データをIQVIA社が適切に特定したかどうかもまだ判断していません。現在までIQVIA社は、すでに公知となっているデータ(医師の名前、ID、住所)にしか言及していません。
裁判所は、VeevaがIQVIA社の企業秘密を流用したという見解に至っていません。証拠開示手続を担当する特別補助裁判官は、そのような裁定を行う権限を持っていません。これは陪審が審理によって判断することです。
特別補助裁判官の裁定では何が述べられていますか?
裁定によって秘匿特権が認められた紛争対象の文書もあれば、秘匿特権が認められていない文書もあります。これは普通のことです。一般に、大規模で複雑な訴訟においては、どの文書が弁護士と依頼者間の秘匿特権としての要件を満たしているかについての紛争が行われるものです。
特別補助裁判官は、Veevaの弁護士のリクエストに基づき作成された文書(Veevaの弁護士が作成したものではなく、秘匿特権付きとされた可能性のあるもの)の中に、未来時制の表現が含まれていることを見つけ、これによって特定の文書の削除を求める意図があった可能性を認めました。特別補助裁判官は、審理において陪審がこの文書について検討を加えてもよいとしています。裁定では、訴訟後にそのような削除が行われているという証拠は見つけられませんでした。事実、記録によると、そのような仮説上の削除が行われ得る前に、Veevaが下記に概説するような文書保全措置を開始したことが明らかとなっています。
裁定では、Veevaは訴訟を予期すべきであった、またVeevaとIQVIA社の共同顧客のデータプロジェクトに関連してデータリーク事件が起きた後の2015年には、文書保全措置を開始すべきであったとも述べられていました。このプロジェクトでは、共同顧客が提供したデータファイルにおいて、IQVIA社による許可のもと、Veevaの人員がデータフィールドの調査と追加を行っていました。
このデータリークにおいては、Veevaの最良の住所アルゴリズムで使われた、IQVIA社の多数の医師住所記録(1,500件未満。いずれもVeevaが他の公の情報源から入手したもの)が焦点となりました。このリークは、Veevaが2013年に買収したAMS社のシステムでのデータベース設定エラーが原因で発生しました。
Veevaは、この問題の性質上、またデータリークはすでに是正済みであったという事実から、訴訟を予期していませんでした。そのためVeevaは、2017年にIQVIA社から提訴されるまで、訴訟目的での文書の保全措置を開始しませんでした。
IQVIA社による許可が取り消されることはなかったため、同じプロジェクトは今日も続いています。
Veevaは、証拠開示手続担当の特別補助裁判官による裁定は、法律の不適切な適用であると考えており、事実審裁判官への申し立てを行う予定です。
Veevaは文書を保全するために何をしましたか?
本訴訟に関連する証拠を保全し、共有するために行われたVeevaの取り組みは、誠実かつ徹底的なものでした。
2017年に訴訟が始まった時、VeevaのITチームは、全世界の従業員を対象として、電子メールやチャットを含むすべての稼働中の自社システムから、情報を削除する機能を無効化しました。Veevaでは数年にわたり、数多くのファイル、電子メール、テキストメッセージ、チャット文章などを作成されてきました。Veevaは、Veeva OpenData(IQVIA社データへの不正アクセスによって改良されたと、IQVIA社が主張している製品)の構築と保守に使われてきたシステムを含め、さまざまなデータシステムのワーキングコピーもIQVIA社に提供してきました。Veevaは、Veevaのデータ製品を改良するためにIQVIA社のデータを利用したことはないため、その点を明確に記しておきます。
裁定は実際の審理にどのような影響を与えますか?
影響は限定的です。VeevaのIQVIA社に対する反トラスト法関連の申し立てはいずれも進行中で、Veevaは勝訴を確信しています。
Veevaは、このたびの特別補助裁判官による裁定を不服とし、事実審裁判官に申し立てを行う予定です。この裁定が支持された場合でも、陪審に提示される事実が大きく変わることはありません。陪審は最終的な判断の結果、欠落しているデータはVeevaにとってマイナス要因であると見なして説示を行う可能性があります。しかしVeevaの見解では、長年にわたって独占的な立場を組織的に濫用し、ライフサイエンス業界、ひいては患者に損害を及ぼしてきたIQVIA社をAMSデータリーク(上記で詳述)によって許容あるいは正当化できるものではありません。陪審にはこの議論の本質を見抜いてもらえるものと期待しています。