医師ニーズ理解は「マッピング」が鍵 製薬会社のコンテンツ制作
医師の情報ニーズに応えるコンテンツマッピング
医師ごとの情報ニーズに応えるコンテンツをどのように整備すればよいのでしょうか?弊社としては、顧客のペルソナ(効果重視、安全性重視、先進的、保守的などの基本的な関心事項・性質のタイプ)と行動変容のステージごとにカスタマージャーニーを整理することが顧客のニーズに応えるコンテンツ制作の基礎になると考えています。順を追ってアプローチを解説します。
最初に、医師のペルソナごと、行動変容のステージ(認知、興味など)ごとに伝えるべきメッセージを整理します。たとえば、効果重視タイプのドクターが製品に対する理解・経験において、Unaware(知らない)からAdvocate(支援者)のレベルに向かって進むためには、ステージごとに乗り越えなければならない壁があり、それらに対応した訴求すべきメッセージがあります(図1)。それらは、安全性重視タイプのドクター向けのものとは異なるはずです。
図1:ペルソナ別アダプションラダーに沿ったキーメッセージの整理
次に、上記の各訴求メッセージに対応したコンテンツを論理的にマッピングします(図2)。この整理を通じて、各医師タイプに対して各ステージで活用すべきコンテンツを明確にできるとともに、不足していた新たに作成すべきコンテンツを特定することができます。
図2:コンテンツマッピングによるコンテンツ使い分けの明確化
最後に、アダプションラダーの各ステージにおいて、どの順番でどのチャネルで各コンテンツを活用し顧客の行動変容を目指すのかを、カスタマージャーニーとして整理します。この過程を通じて、各コンテンツにおいて、どのような目的でどのチャネル向けのバリエーションが必要なのかを明確にすることができます(図3)。
図3:カスタマージャーニーに沿ったコンテンツ活用目的・チャネルの整理
個別化を可能にするコンテンツ活用の仕組みづくり
上記のように医師のペルソナごと、行動変容のステージごとにカスタマージャーニーが整理されたうえで、現場のMRがそれを理解し、顧客に合わせて活用できれば、理屈のうえでは、各医師のニーズに合ったコンテンツ活用およびメッセージ訴求が推進されるはずです。しかしながら、実現するのは容易ではありません。MRが各医師のペルソナ・行動変容のステージ・カスタマージャーニーに基づき適切なコンテンツを見つけて、活用するというのは極めて複雑であり、きれいに整理されたパワーポイント資料があるだけでは、大半のMRにとっては頭の中で処理をして実行するのは不可能であると思われます。さらに、実際は理屈通りに進むわけではなく、個別の状況にあわせた柔軟な調整が必要になります。
そこで、弊社としては実行を可能にする仕組みづくりが重要だと考えます。たとえば、弊社による支援の例としては、Veeva CRM MyInsightsにカスタマージャーニーに沿った活動の進捗と推奨アクションを示すことで、コンテンツマッピング、カスタマージャーニーに沿ったコンテンツ活用、メッセージ訴求をMRが計画し、実行するのをガイドするというアプローチがあります(図4)。個別化する医師の情報ニーズに応えるためには、コンテンツマッピング、カスタマージャーニーの整理とあわせて、それらを現場で実行できるようにするための仕組みを準備しておくことが不可欠といえるでしょう。
図4:MyInsightsを用いたカスタマージャーニーに沿った活動推進の例
このページでは、課題解決のヒントとなるトピックを、連載形式でお届けしています。
- Overview、個別化するコンテンツニーズにどう対応?
- コンテンツマッピング
- 制作プロセス改善
- レビュープロセス改善
- コンテンツ活用推進
- デジタルアセット管理(DAM)
- モジュラーコンテンツ
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