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加速化するコンテンツのデジタル化… 製薬会社の制作効率を高める工夫とは?

製薬会社のプロモーション資材は紙資材かデジタルコンテンツか?昔からこの議論は続いています。紙資材にもちろんメリットはありますが、個別化するニーズへの対応を目指すには、デジタル化に向かわざるを得ないと見ています。実際、グローバルで見るとコンテンツのデジタル化は着実に進行しています(図1)。日本においても、現状ではグローバルより紙資材が使われる傾向はまだ高いものの、多くの製薬会社でデジタル化に向かっています。紙資材には一覧性の高さや相手の手元に残るという良さはありますが、個別化の観点では、様々なバージョンの資材を紙で制作するのは実質的には不可能であり、また活用に関する個別のインサイトが蓄積されないという点が、個別化ニーズへ対応していくには決定的なボトルネックとなるでしょう。個別化を進めるのであれば、コンテンツマッピングに立ち返り、どこからデジタル化していくか検討することが必要となります。

図1:個別化によるデジタルコンテンツへのニーズの高まり
fig1

コンテンツのデジタル化を進めていくなかで、コンテンツ量が多すぎて管理できないという話もよく聞きます。既存コンテンツは「もしかすると使うかも」というMRやMSLの要望により残り続け、同時に個別化するニーズに応えるため、新しいコンテンツは次々作成されていきます。結果、格納されているコンテンツ量は増える一方となります。管理する側にとっても、コンテンツを使うMRやMSLにとっても望ましい姿ではありません。それを解決するために、まず本当に制作すべきコンテンツは何なのかを見直してみてはいかがでしょうか?そのためには、現状でコンテンツがどれくらい制作され、どの程度使われているのか、管理者が製品横断で状況を振り返ることが必要です。使われていないというファクトによって、古いコンテンツを削除する意思決定が容易になります。また、作る必要性が低いコンテンツがどのようなものなのか理解も高まっていくでしょう。加えて、使用期限については原則延長ではなく、いつ何のために使う必要があるのかも明確にしたほうがよいと考えます。基本的に1年や2年など決まった期間が過ぎたら自動的に期限切れにするという運用にする、延長する場合にはその理由をもとに承認を得るプロセスをはさむことで、不必要に使用期限が延長されるコンテンツを減らすことができます。個別化を目指すのであれば、コンテンツ量を管理し、必要なコンテンツを見極める仕組みの導入は必須と言えるでしょう。

「内製化」というのも最近良く聞くキーワードです。制作会社のケイパビリティを社内に持つことで、コスト低下の動機づけが働きやすくなるのに加え、契約のやりとりが不要で、より迅速、柔軟な対応が期待できる点がメリットとして挙げられます。一方で、新たなアイデアが生まれにくくなる、社内の制作キャパシティ管理が複雑になるなど難しい点もあり、内製化をするかどうかは経営判断に委ねられることになります。ただ、全体としての内製化の議論とは別に、コンテンツの種類や目的によって、部分的に社内で制作するコンテンツを検討することは可能でしょう。たとえば、標準的なPowerPointスライドであれば、制作会社に依頼しなくてもCLM(Closed Loop Marketing)コンテンツ化して配信することは社内でも対応可能です(図2)。外部と協力して作り込むべきコンテンツと社内でクイックに作成するコンテンツを区別し、制作プロセスに柔軟性をもたせることにより、個別化ニーズへの対応を容易にすることができます。

図2:様々なCLMコンテンツの作成方法(Veeva機能を用いた場合)
fig2

今後コンテンツの個別化を目指すのであれば、本当に重要なコンテンツが何なのかについて理解を深めつつ、効率的にコンテンツを制作するケイパビリティを高めておくことが重要と言えるでしょう。次回は、コンテンツのレビュープロセスについてお伝えします。

このページでは、課題解決のヒントとなるトピックを、連載形式でお届けしています。

  1. Overview、個別化するコンテンツニーズにどう対応?
  2. コンテンツマッピング
  3. 制作プロセス改善
  4. レビュープロセス改善
  5. コンテンツ活用プロセス改善
  6. デジタルアセット管理(DAM)
  7. モジュラーコンテンツ

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